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源三郎江戸日記(弟五部)7
今の処わからないそうで、館林にも手のものが入りこんでいるそうです、特に不穏な動きはないとの事ですと言うので、明日でも堀内道場に足を運んでみよう、今はせつ殿が婿を取ら、
れてる、旗本400石の山口家の次男坊で一郎太が道場を継いでいるはずだ、飛猿が殿は手合わせされた事が、あるのですかと聞くので、わしの兄弟子で師範代を勤めていた、腕は相当、
なものだった、
一回だけ負けた事がある、堀内先生の愛弟子じゃったな、立ち会うとわしだけには負けたくないとそれはもう殺気だった打ち込みだった、わしがのらり、くらりとかわすので、憮然と、
した顔で真剣で立ち会おうと怒ったが、堀内先生がたしなめられて二度と立ち会うなと言われたので、それからは立ち会おうてはおらぬと言ったのです、翌日堀内道場に顔をだすと、
せつがで向かえて、
お珍しいどうしたのですかと聞くので、一郎太殿はおられますかなと聞くと、今日は館林藩の上屋敷に出稽古に行きましたが、一郎太に用事でもと言って、こちらにと奥座敷に通した、
のです、いや、特別には用事はないので御座る、直ぐそこの笠間藩の屋敷に用事がありましたので立寄った迄で御座る、せつ殿も元気そうですなと言うと、お茶を出して源三郎様こそ、
今はご老中におなりでしょう、
ご出世おめでとう御座りますと言うので、押し付けられているのですよと言うと、そのようないでたちで共もつれずお歩きになるとは昔とちっとも変わりませぬと笑うので、堀内先生、
が亡くなって何年になりますかと聞くと、もう8年になりますと言うので、仏間に行き焼香したのです、何かをお聞きになりたいのでしょうと言うので、実はここに風間小太郎と言う、
者が出入りしているそうですがと言うと、
なんでも最近館林藩に奉公されたそうで、この道場に出稽古に来られているのです、剣の腕は相当な物ですが気味の悪いお方で、私は嫌いです、多分何人も人を殺めているのでしょう、
一郎太が懇意にするのは、館林藩から剣術指南役にとの話しがあるそうです、あの男が話しをもって来たのですと言うので、受けられたのかと聞くと、なんでも、誰かと立会いそれに、
勝つたらの事でございます、
まさか源三郎様ではと言うので、多分わたしでしょうと言うと、絶対に受けないでください、一郎太はいまでも源三郎様に妬みをもっています、必ず真剣でと言うはずですと言うので、
おせつ殿とこの道場を手にいれたのに何が不服があるので御座るかと聞くと、源三郎様の出世を妬んでいるのです、時々まだ源三郎が好きなんじあろうと言うのですよ、この道場を続、
ける為に、
婚姻を承諾したのです、わたしはもう耐えられませぬ、離別して、ここを出て行きとう御座りますと言うので、それで、お子もおられぬのかと聞くと、一郎太は女を囲っているのです、
日本橋の芸者だった、女子だそうですと言うので、ならばこの道場はやるので離縁してくれるように言いなされ、わが屋敷に来られれば良いと言うと、本当ですかと言うので、本当で、
御座ると言って、
言い出せば逆上して、刀に手をかけるかも知れませんなと言うと、これでも堀内の娘です、むざむざ殺されはしませぬと言うので、それでは文を書いて置きなされ、わたしはいつでも、
立ち会に応じると言っていると書くのですぞと言うと、良いのですかと言うので、どうやら一郎太殿は風間小太郎の片棒をかついで上様に危害を加えるつもりらしいですなと言うと、
何と言う事をと絶句したのです、せつが文を書いたので道場を出て深川の上屋敷に連れて行き、お玉に訳を話すと、承知しましたお預かりします、せつ殿安心なされと言うと、宜しく、
お願いいたしますとせつが言ったのです、一郎太は帰って来て置き文をみて、くそ~、先手を取られたかと言うと、館林藩の中屋敷に行き小太郎に話すと、気がついているのか、近々、
吉宗は鷹狩りをするそうじあ、
その前に奴を始末しょう、果たし状を出しなされ、場所は稲荷神社の境内で良いじあろう、わしたちが回りにひそんでおる、討ち取れば正式に館林藩の剣術指南役に取り立てられる、
ぞと言うと、お願いする、真剣なら負けはせぬと言って、果たし状を書き深川の上屋敷に届けたのです、江戸家老がこのような物がと言うので、みると、果たし状です、妻を寝取ら、
れた遺恨により、
果たし会いを所望する、明日あけ六つに駒込稲荷神社の境内で、待つとかかれています、国家老が藩士を同行させますと言うので、多分風間が回りを囲むじあろう、山形だけで良い、
風間には根来を頼もうと言って、飛猿を呼び、かえでに繋ぎを取り応援を頼め、これで何人いるかわかるじあろうというと、風間はわたしと、才蔵、根来衆に任せてくだされと言っ、
たのです、
翌日あけ六つに山形をともなって稲荷神社に行くと、一郎太と1人の男がまっていたのです、久しぶりに御座るなと言うと、今日こそ決着をつけようと言うので、承知したここに、
いるのは立会人にござれば手はださぬと言うと、そばにいた男が柳生門下荒木又八に御座る立会人を勤めますと言ったのです、刀を抜き中段に構えると一郎太は上段に構えてじりじ、
りと間合いを詰めたのです、
一郎太が踏み込みえ~と振り下ろすのを、受け止めるとガキ~ンと音がしてつばぜり合いになり、源三郎が右足で腹を蹴飛ばすとよろめき、あやうく倒れそうになり、卑怯なと言う、
ので果し合いに卑怯も糞もない、周りを囲んでいる風間の手の者こそ卑怯ではないかと笑うと、何も言わず再び上段に構えたので踏み込み切り結も中々決まりません、一郎太殿腕は、
落ちていますぞ、
修練は怠っておりますな、いままでは遊びでござる、それではいきますぞ覚悟めされいと言うと、何をほざくか決着をつけてやると、間合いを詰めると一気に降りぬいたので、一歩、
下がり右に振りぬくと、一郎太の切っ先は源三郎の鼻先を掠めたのですが、源三郎の切っ先は一郎太の右胸から左胸を切り裂いたのです、一郎太がなぜだと言うと前に倒れたのです、
地には鮮血が広がり、
首に指を当てると絶命しています、荒木がお見事で御座る、秘剣村雨でござるかと言うので、何も答えず、果たし会いは終わり申したというと、どこからか、ここからは生きて出ら、
れんと声がするので、風間小太郎かと言うと手裏剣を右のケヤキに向けてエ~イと投げると、バサ~と音がして忍者の黒装束をした男が降りて来たのです、顔を見せたな、お前達の、
陰謀は発覚しておる、
そうそうに里に帰るのじあと言うと、荒木又八こやつを切れと言うと、荒木が剣客として果たしあいを申し込む風間は手を出すなと言うと、小太郎が承知したと答えたのです、受け、
ても宜しいが、そなたが負けたらそなたの身はわしの物じあぞと言うと、負ければ命はありもうさん自由にしてくだされと言ったのです、源三郎は血のりをふき取り一旦鞘にしまい、
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