18人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「で、自分のどこが嫌われていると思うの?」安藤はやれやれと言った口調で聞いた。
「えっと……一人よがりに突っ走ってしまう所とか……未熟なくせに独り立ちしたと思い上がっている所とか……相手の立場に成れなくてデリカシーにかける……とか」
「へぇ、意外と自分を分かっているのね。でもね、そういう事じゃないの」
「ああっ! 顧客管理のシステムの件は謝ります!」
「え? そんな事思っていたの? へえぇ……馬鹿にするのね」
「いえ、そんな……」綾香は焦った。
安藤は飲むでもなく、カラカラと回していたグラスをカチャリと硝子のテーブルの上に置いて綾香の方を真っ直ぐに見た。安藤の整った化粧気のない顔は僅かに皮肉っぽい表情を見せている。
最初のコメントを投稿しよう!