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雨が降りだした夜の街をただフラフラと綾香は彷徨い歩いた。すれ違う酔客が雨に濡れすぼった若い女に、興味あり気な視線を送る。
綾香には誰の姿も見えていなかった。冷たい雨が目に溢れ、キラキラ光るネオンとチカチカ光る信号の赤だけが綾香の目に滲んで見えた。
「死ね死ね死ね死ね」「死ね死ね死ね死ね」
「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ」「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ」
──嫌いな理由なんて無い……何となく…
「死ね死ね死ね死ね」「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ」
「死ね死ね死ね死ね」「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ」
綾香23才……自殺前夜。
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