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一年前、綾香は新入社員として今の会社に入社した。厳しい就職戦線の中で勝ち取った正社員の座だった。しかし綾香の頭の片隅には、此処は第一希望ではなかったという思いが常にあった。もう一つ上の、もっと世間に名の知れた企業に入りたかったのだ。
─「綾香、良い会社に内定貰えて良かったね」両親は手放しで喜んだが、
─「まあまあだよ。本命の会社には貰えなかったんだから。でも……まあいいか。まだ一社も貰えてない友達もいっぱいいるし……」と、綾香の返す言葉は今一つ手放しで喜ぶという様子ではなかった。
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