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入社して三ヶ月もすると綾香は仕事の流れも自分なりに掴めるようになり、安藤に与えられた仕事も一人でこなせる様になっていた。
『なんだ、意外と楽チンじゃん』綾香のマイペースは大体この辺りから独りよがりになる傾向がある。
「安藤さん、ちょっといいですか?」
「え? いいわよ。何?」安藤が綾香のパソコン画面を覗き込んだ。
「顧客管理の事なんですけど、もう少し項目を増やした方が良くないですか?」
「え……?」
「もっと多方面で一元管理した方が断然今より使えますよ」
「ああ……そうね」安藤の返事のトーンが少し落ちた。
「私、システム改善の提案をしてみたいんですけど、いいですか?」
「ええ……勿論よ」と安藤の返事のトーンが確実に落ちた事に綾香は気付かなかった。
後に安藤との拗れた人間関係を思い返した時にじわりと綾香の記憶に上ったのがこの事だったのだ。
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