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真夜中の楽隊
自らの爪の緋さを罰するように
指さす、ぼくは
ショーウィンドウの隙間から
流れる、夜の楽隊
きみには聴こえているのか
きみには見えているのか
悲しみはいつもこの胸を過る
硝子の中の白い蝶の墓標
銀の鱗粉をカラダに浴びながら
どんな花を捧げに行こうか
爪先からはハラハラと
薔薇の花びら落ちてゆく
硝子はただ薔薇に溶けようとして
ぼくごと閉じ込めてしまうのだ
真夜中のショーウィンドウ
星はいっせいに降ってくる
木々の梢のざわめきに似て空が喘ぐ
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