アンサンブル―乾き―

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アンサンブル―乾き―

いびつに いびつに いびつに 歪み続けた軌跡 導き出された空を駆け巡る音 風の音かもしれない 水びたしになった廊下に立つ 頭を垂れて両の手のひらひらくと 少しは癒やされる気がした やがて   ゆっくりと喉元までたちこめる 時間 駆け巡る痛みは心臓から始まる でも何処にも あざなどないし 感触もない けれど くらりと足場なくして またあの暗喩の中 行く手には光 右手には闇 左手には輝く音楽隊 額には昏く細い冠を締めて     両のかいなには白銀と黒金の合唱隊   磨き上げて組み合わせられたなら   広く鋭く響く 背後には白金 右手には闇 左手には輝く音楽隊 足首には昏く冷たい足枷をはめて 幼い頃から   眩しいはずの季節から 記憶 探して 探して 探して もっと探して 階段を駆け上がる一歩手前で振り向いた からからと乾いた音がする 何処まで堕ちたら静かにねむれるのだろう
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