夏の日の紅い金魚

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「ありがとうね……うれしい、とっても」 彼女――咲ちゃんは言うと、 「もう一度、あなたに会えて、よかった」 と、にっこりと微笑んだ。 「じゃあ、私、もう行かないと……」 「行くって、どこへ?」 たずねる僕に、咲ちゃんは小さく笑って、 「じゃあね……」 と、手を振った。 ……瞬間、目の前で赤いワンピースの裾が金魚の紅い尾鰭のようにひらひらと舞って、少女の姿はそのまますっとかき消えるように失くなってしまった。
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