23人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「……金魚? まさか?!」
よく見れば、彼女はあの金魚と同じ艷やかな赤い色のワンピースを着ていたけれど、
金魚が一夜のうちに人間になったなんていう夢ものがたりは、
現実には到底信じることもできなかった。
「だって、そのまさかなんだもの」
と、少女が口をとがらせる。
「いや、でも……」
洗面器の中から忽然と消えた金魚と、少女とをだぶらせてみる。
「私、金魚だよ?」
さも当り前のようにくり返す自称金魚の彼女に、
そう言われてもなぁと、僕はぼんやりと思った。
最初のコメントを投稿しよう!