夏の日の紅い金魚

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「……金魚? まさか?!」 よく見れば、彼女はあの金魚と同じ(あで)やかな赤い色のワンピースを着ていたけれど、 金魚が一夜のうちに人間になったなんていう夢ものがたりは、 現実には到底信じることもできなかった。 「だって、そのまさかなんだもの」 と、少女が口をとがらせる。 「いや、でも……」 洗面器の中から忽然と消えた金魚と、少女とをだぶらせてみる。 「私、金魚だよ?」 さも当り前のようにくり返す自称金魚の彼女に、 そう言われてもなぁと、僕はぼんやりと思った。
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