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「咲ちゃん」
呟くと、
「やっと、思い出してくれたんだ?」
と、少女が口にした。
「え? やっと思い出したって?」
まるで咲ちゃんのことを知っていたかのような口ぶりに、驚きが隠せない僕に、
「ずっと、思い出してほしかったんだよ」
と、目の前の見知らぬ彼女がさらに言う。
「思い出してほしかったって、咲ちゃんを?
……でも君、咲ちゃんじゃないよね……?
何……どういうこと?」
疑問が浮かぶ僕に、
「だって、私は金魚だけれど、咲ちゃんでもあるんだもの」
少女は答えて、僕の頭には疑問符がさらに増えた──。
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