夏の日の紅い金魚

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「えっと……まったく、意味がわからないんだけど……?」 と、問いかける僕に、 「平たく言うとね……」 と、少女が話した。 「平たく言えば、野村 咲が金魚の中に入り込んだってことかな」 「金魚の中に……入り込んだ?」 どうにもあまり納得がいかないでいると、 ふいに少女が立ち上がって、僕の方へと歩いてきた。 赤いワンピースの裾がふわりと翻って揺れ、それはまるで、 水の中で体をゆらゆらとくねらせて泳ぐ、真っ赤な金魚の姿にも重なるようだった……。
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