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高校生だった自分とまったく同じ気持ちを話す彼女に驚いて、ぽかりと思わず口を開くと、
「ねぇ、聞いてた? 私の告白」
少女に拗ねたような表情で上目に睨まれた。
「うん……聞いてた」僕は頷いて、それから、
「僕もだよ……」
と、目の前の彼女に、素直な自分の気持ちを告げた。
少女の言葉を借りるなら"金魚の中に入った咲ちゃん"が、ただ、僕とおんなじ想いを抱いていてくれたということに、
うれしさが隠し切れなくなって、そう伝えずにはいられなかった。
「……本当に?」
と、彼女が小首を傾げて聞いてくる。
「本当だよ」
と、僕は笑いかけた。
あの頃に、何度も伝えようとして伝えられなかった想いが、
ようやくすくわれて、すっと胸に溶け落ちていくようにも感じた……。
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