23人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
まだ高校生だった遠い昔────僕には、大好きだった女の子がいた。
3年の間、恋焦がれて、けれど結局は告白することもできずに、
僕は地方の大学へ、彼女は東京の短大へと離ればなれになってしまった。
それから、一度も会ったこともなかった。
付き合ったわけでもないのに……。
なんで今になって、彼女のことなんか思い出すんだろう……。
よっぽど、お祭りなんかにひとりで行くことが、自分でも恨めしかったんだろうかと、もし彼女といっしょに行きたくて、つい思い出したんだとしたら、
つくづく未練がましいよなぁと、感じた。
高校を卒業してからもう何年も経つのに、まだ彼女のことを忘れられずにもいるのなら、
どうしてあの頃に気もちを伝えるくらいのことが、できなかったんだろうかと。
僕は、自分の気弱さに、今さらながら嫌気が差した気がした。
最初のコメントを投稿しよう!