夏の日の紅い金魚

帰る前に、せっかく来たんだからお参りでもしていこうかな……と思い立った。

この神社が何を祀っているのかも知らず、けれどここまで足を運んできたのだからと、

賽銭箱にお金を投げ入れて、本堂へ何を願うともなしに手を合わせた。

お参りも済んだし、さてそろそろ帰るかと思っていた僕は、

本堂の傍らにひっそりと灯っている明かりを見つけた。

暗がりにそこだけぽーっと薄明かりが照らしていて、どうやらお店が出ているらしかった。

けれど、他の夜店の並びからは明らかにはずれて、

そんなところにぽつんとお店があるのも、変なようにも思えた。