夏の日の紅い金魚

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びくっとして振り返ると、店主がにこにこと笑いながら、 「金魚すくい、しないかい?」 と、再び声をかけてきた。 見回しても周りには誰もいなくて、どうやら自分に言われているらしいことに気づく。 他には人の姿が見当たらないこともあり、なんだか帰りづらい雰囲気もあった。 僕は、「ああ……」と、気のない返事をして、店の前に立った。 「はい、これモナカね?」 店主から金魚をすくうモナカを渡されて、 僕は一回分の料金を支払うと、仕方なく浅めの四角い桶の正面にしゃがみ込んだ。 水色の角張った桶の中では、たくさんの赤い金魚たちがひらひらと舞うように水の中を泳いでいた。
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