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有翼人の男の名は『カーティス』と言い、人間族の女の名は『アリエル』と言った。
カーティスは宰相直属の大聖殿警護の騎士であり、アリエルは幼い頃からのティアラの親友であった。
「宰相殿。何故、巫女様を王がお召しになったのでしょう?」
カーティスは過去、ティアラに『愛』を告白し、拒絶されたことがあった。しかし、それでも、まだティアラのことは忘れられないらしい。
まぁ、大聖殿の警護をしている以上、忘れようと〝距離を置くこと〟すら出来ないのだが………。
「陛下に『魔族討伐の遠征軍派遣』を進言したのは私だが。当然、近衛将軍のアシュレイが指揮官になるのは当然としても………」
国王は、まさか巫女であるティアラを『討伐遠征軍』に随行(組み込む)つもりなのか。
巫女でありながら、ティアラは優れた魔導師で、得意なのは回復系魔導だが。攻撃・攻撃補助・防御と全系統の魔導に高い素養を有する逸材らしい。
「まさか!国王は巫女様を戦力に、とお考えで?」
カーティスは驚きを隠せない。いくら全系統の魔導を使えるからと言っても、ティアラに戦闘は無理だ。
「うむ、ティアラを随行させるつもりなら、どうせアシュレイが陛下に談判したのだろう。アシュレイの〝ティアラへの想い〟は知るものぞ知る、だからな。」
ザディウスは、ティアラに対し『邪な欲望』を抱き続けてきた。いつか手中に納めようとさえ思っていたのだが………。
「どうして?誰も彼もがティアラばかりを!何で、アシュレイ様までッ?!」
アリエルは悲痛な涙声で、そう言った。みんながみんな、ティアラを愛し・慕う。老若男女問わずである。
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