始まりの終わりか、終わりの始まりか

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 自分はアーケイディアの『剣』であり『盾』だ。戦場こそが生きる場所。かたや、ティアラはアーケイディアの民全てに慈愛を注ぐ聖なる乙女である。  元々、生きる場所も住む世界も違うのに。何故、こんなにまでのだろう。アシュレイ自身もそう思っていた。 「落ち着くのだ、アリエルよ。よもや、ティアラがアシュレイを想うようになる、とは考えにくいが………。」  ザディウスは暫し、思案に暮れる。ティアラを手に入れると言うのは、当初からのザディウスの望みだった。  だからこそ、ティアラの後見人となり。彼女を、大聖殿付き巫女に推挙した。  そうすれば、彼女は〝男と接触すること〟がなくなる。事実、ザディウス以外と話す機会すら、ほぼ皆無であったのだ。  聖殿付きの警護騎士でさえ、ザディウスの許可なく、ティアラに近付くことはおろか、声を掛けることさえ出来ない。  箱入りどころか、徹底的な純粋培養なティアラは、恋さえしたことがない。  まぁ、ザディウス以外の男との接点が皆無なのだから、当然と言えば当然なのだが。 -そんなティアラに何故、アシュレイが恋い焦がれることになったのか。ティアラは覚えていなかったようだが、ティアラとアシュレイは、幼い頃に何度か出逢っている。  アシュレイの方は、その頃のことを覚えているし、その頃からティアラを想っていた。その頃は幼いが故の、淡い想いだったけれど………。
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