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そして、アーケイディアの辺境から、ティアラがザディウスに連れられ、王都に来るまで、逢うことはなかったけれど………。
しかし。逢えない期間が続いても、アシュレイのティアラへの想いは薄れることも消えることもなく、より一層強く・深いものへと形を変えていった。
再会を果たした時。ティアラがアシュレイを覚えていなかったことに落胆したものの、そんなことで変わるような想いでもなかった。
再会したティアラは、アシュレイの想像を超えるほど、清らかに美しい乙女へと成長していた。
数多の血に濡れた自分と〝住む世界が違う〟ことを、まざまざと眼前に突き付けられ、痛感させられた。
それでも……諦めることも、忘れることも出来なくて。そもそも、それが出来なかったからこそ、こんなにまで恋い焦がれているのだ。
-想いの成就を願えぬばかりか、告げること
さえ赦されないとわかっているのに-
己が命を懸けても惜しくないほど、全てを捧げても構わぬような恋をしていた。
アーケイディアの臣民として、近衛将軍として。命を捧げ、忠誠を誓うのは、国王陛下でなくてならないのに。
ならば。その愛だけは、ティアラだけに誓いたい。触れることさえ出来ないとしても、アシュレイの愛は、ティアラだけのものなのだ。
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