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無論、ザディウスには『下心』があった。幼いながらも、ティアラの美貌は一目でわかるほどであった。
長じれば、女神の如く『光輝く美女』になるのは明白だった。その暁には、ザディウスはティアラを我が物にしよう、と目論んでいたのだ。
-かの伝説の、絶世にして悲劇の美女『デア
ドラ』のように-
(※デアドラ………災厄を招くとの預言を受け、産まれた時から幽閉されて育った、伝説の美女。FE~聖戦の系譜~のグランベル皇女・ディアドラとは別人。
上記ゲームは、人物名や魔法・武器名に北欧・ケルト神話由来のものが多く、恐らくモチーフなのだと思われる。)
ティアラは幽閉されていたわけではないが、母が亡くなり、ザディウスに引き取られるまで、異性とは接点さえなかった。
ザディウスもティアラに己以外の異性を極力遠ざけていた為、ティアラは真実、純粋培養の『清らかな乙女』であったのだが。
「………陛下。わたくしまでもお召しになられるとは………。何か大きな異変が起こったのでしょうか?」
『異変』と呼べるものは、恐らく、闇の波動をまとった生き物(魔物)の出現であろう。だが、本来、王都はおろか聖堂からすら出ない(出られない)ティアラには、王から召される理由がない。
魔物の討伐などは騎士団の役目であるし、『冒険者ギルド』の冒険者達にも、騎士団のものとは別の、魔物討伐依頼も入ってくる。
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