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遥かなる時の彼方に『古き伝説』と化した一つの物語があった。
邪悪なる魔族と、正義の勇者が死闘を繰り広げ、遂に勇者が魔族を倒した、と言う〝お伽噺〟としてはありふれた物語。
-けれど。倒した=滅ぼした、ではないのだ-
そう、魔族は滅されたわけではなく『封印』されただけに過ぎなかった。いや、勇者と、その仲間達の力を以てしても『封印』がやっとのことだった。
現に『魔族の封印』と引き換えに、勇者と仲間の一人が犠牲となったのだから。だが、それは極一部の人間だけが知る〝最重要機密〟とされていた。
だって。〝お伽噺〟に犠牲は必要ないのだから……………
それから、長い歳月が流れ、その〝最重要機密〟を知る者は、墓までそのことを抱えてゆき、真実を知る者はいなくなった………………そのはずだった。
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