序章

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 勇者は死の間際に、願ったのだ。永き平和を、光満ちし国を、豊かなる恵みを………そして、二度と『悲劇が起こらぬこと』を。  犠牲になったのは勇者と、仲間の一人。その仲間とは美しき女性司祭………そして、勇者にとって、最愛の恋人でもあった。  勇者が魔族の動きを止め、女性司祭が魔族の魔力(ちから)を抑え、仲間達に言ったのだ。   -自分達ごと、この魔族を『封じろ』と-  勇者と女性司祭の命そのものを『封印』とすること。それが、その時に選べる最善の………そして〝最期の方法〟だったから……………。  そして。遺された仲間の一人は、『封印』が解かれた時の為に、『封印』に関する記述を文献として遺したのだ。  それが〝(あだ)〟になるとは、夢にも思わずに。その文献は、そのまま『どうすれば、封印が解けるか』の文献にもなってしまっていたからだ。 -願ったのは、勇者と仲間の魂の安らぎ。そ  して、永き平和。それだけであったのに-
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