始まりの終わりか、終わりの始まりか

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 ともあれ。それが遠く、アーケイディアまで伝わるのに、そう時間は掛からなかった。  しかし、魔物は勇者達の活躍によって悪しき魔族と共に、地上から消え去ったはずであった。となれば、考えられる理由は一つ……… -勇者達によって成された『魔族の封印』が  解かれたのだ-  魔族が自力で解いたのか・それとも何者かが何らかの目的で解いたのか。だが、魔族が〝倒された〟のではなく〝封印された〟のだと知る者はいなくなった………はずだった。  しかし、この世の森羅万象に於いて例外と言うものは、つきものだ。魔族は〝封印されているだけ〟だ、と知った者がいたのだろう。  勇者の仲間が遺した文献を、読み解いたのかも知れない。理由が何であるにせよ、『魔族の封印』が解かれたのは間違いないだろう。  そして、南の大陸に魔族の居城が、突如出現し、周辺の五国は滅ぼされ、支配下に置かれた、と……………。  『運命』と言う名の糸を紡ぐ歯車は、動き出してしまった。軋んだ音色を立てながら廻る歯車は、どんな『歴史』と言う名の(にしき)を織り上げるのか。それはまだ、誰も知らない。 -そう。その『歴史(にしき)』を織り上げる『宿星の  機織女(はたおりめ)』自身さえも-  紡ぎ、織り上げられるのは『悲劇』か、それとも…………………
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