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食べても 食べても 足りない。 俺はずっと空腹なんだ。 どんなに綺麗な人間でも どんなに高学歴な人間でも 男でも 女でも ダメなんだ。 お腹いっぱいにはならない。 この空腹はどうやったら満たされるんだろう… 肉轢き機を洗いながらぼんやり考えた。 ………………………………………………………… 『穂高。またケチャップついてる。』 『え?どこどこ?』 『だから逆だって。』 またティッシュで拭ってあげた。 ほんと穂高は一緒に居て落ち着く。 穂高は今日は仲のよい学食のおばさんにオムライスを特大にしてもらっていた。 それを美味しそうにパクパクと口に運ぶ。 いいなぁ。穂高は。 『なんだ?食うか?』 『いや……穂高を食べたい。』 『………………………は?』 自分で言っていて、自分でも驚いた。 それほど口をついて出た言葉だった。 『…お、おま…お前!そう言うのは女の子に言え!』 顔を真っ赤にしている穂高を見て 俺は頭をトンカチで殴られた様な衝撃を覚えていた。 そうか 俺は愛着を込めた動物を食べる事を避けて来たけど 食べる事は最大の愛情なんじゃないかな。 穂高を失うのは悲しい でも食べることで、永遠に自分の物に出来る。 穂高なら、俺をお腹いっぱいにしてくれるかも。 でもきっとまだダメだ。 もっともっと。 俺の中で穂高の存在を育てないと。 他の誰にも代わりが利かないくらいに。 そしてその時、穂高を殺す。 そうすればきっと…… 『……でさ、帰って来てないらしいんだよ。』 『え?』 『聞いてねーのかよ!だから、この間合コンした女の子が1人、家に帰ってないらしいんだよ。』 『へぇ…』 『ま、お前は先に帰っちゃったもんなぁ。 結構かわいい子だったからなぁ… やっぱり駅まで送ってやれば良かったかなぁ…』 『早く見つかるといいね。その子。』 それにしても 穂高の大好物ってなんだろう? おわり。
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