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『彼女さんは休暇はどこに行ってたの?』 『さぁ?山登りって言ってたかな。』 『山登り?ひとりで?昔からの趣味とか?』 『知らないね。』 『ちょっとー。しっかりしてよ婚約者。』 『お互い、趣味に関しては干渉しないって暗黙の了解なんだよ。』 『ふぅん?ま、彼女さんが山登りにハマってるお陰で、私達はこうやって会えてた訳よね。』 シャワーを浴びて、バスタオルを体に巻き付けた。 『なぁ、別にラブホに行けば良くない? そうすればいつでもヤれるのに。』 『嫌。ラブホってなんか不潔だし。』 いつもの様に洗面台の棚に並ぶ化粧水の小さいボトルに手を伸ばした。 ラブホには、この化粧水が無いんだもん。 30代の半ばにもなるだろう倫子先生は まるで10代の様にみずみずしい肌をしている。 10代の頃から肌トラブルに悩まされて、色んなクリニックを渡り歩き、たどり着いたのが倫子先生だった。 『特別な事はしてないですよ。 きちんと汚れを落として、保湿……ですかね。』 『化粧水はどのメーカーですか?』 何度も倫子先生のもとに通いつめて、少し仲良くなれたタイミングで色々質問していた。 『化粧水は手作りなんです。』 ニッコリ笑ってそう言った。
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