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隼人の荷物をまとめると、部屋が広く感じた。
そして、もう彼がここに来ることはない。
そう思うと、心に穴が空いたようだった。
『……………ピンポーン。』
『こんばんはー!ごめんね!突然~♪
お土産買ってきたから………って絢香!?
どうしたの?なんかあった?』
『ななこ……』
親友のななこが遊びに来た。
『えっ!?別れちゃったの!?』
『うん……』
『なんでぇ……?』
ななこは高校時代からの親友で、同じ会社の人と付き合ってる事は話していた。
『結婚はあと10年はしないから
私の為にも別れた方がいいって……』
『えー!なんなのそいつ!
ちょっとここに呼んでよ!
私が説教するし!』
『………いいよ。もともと始まりも曖昧だったし…
ななこに話聞いてもらえてなんかスッキリした。
ありがとう。』
『ううう……絢香………』
『私が泣いてないのに、ななこが泣いてる。』
『だってぇ!』
怒ったり、泣いたり
ななこは表情がクルクル回って楽しい。
私もななこみたいに素直だったら……なんて。
『それで、ななこは何かあったの?』
『……………えっと………』
『わざわざケーキのお土産持ってきたんだから
何かいい報告でしょ?』
『…………………………』
今度はすごく険しい顔。
『もしかして、結婚するの?』
『!!……………ごめん……』
『なんで謝るのよ?おめでとう!』
『やっぱり…絢香には1番に報告したくて……』
『私も嬉しい。幸せになってね。ななこ。』
ななこが嬉しそうに笑った。
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