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『木村さん。少し良いですか?』 『………なに?』 喫煙所に入ると、隼人は顔を曇らせた。 『あ。長谷川先輩。おはようございます!』 隼人の後輩が元気良く挨拶をしてくれたけど 無視して隼人の前に来た。 『これ。私の部屋に置いてあった荷物。』 後輩君の前で段ボールを突き付けると 隼人にあからさまに舌打ちをされた。 『えっ?荷物?私の部屋って………え?もしかして…』 『……長谷川さん。場所、変えようか。』 『良いですよ。』 後輩君を残して、私達は屋上に来た。 『どういうつもりだ?』 手すりを背もたれがわりにして、隼人が鋭い目付きで聞いてきた。 『私はキープだったの?』 『………そうだよ。さっきのはその仕返しってわけ?お前そんなキャラだったの? がっかりだなぁ。』 あぁ、良かった。 ギリギリだったけど 気付けて。 『ねぇ、最後に付き合ってよ。』 『はぁ?だからお前とはもう別れ……』 『私の断捨離に、付き合って?』 段ボールを思いっきり隼人に投げつけた。 避けようと体勢を崩した隼人に体当たりをすると 私と隼人の体は宙に浮き 柵の向こう側に滑り落ちた。 落ちる瞬間まで、隣で隼人の絶叫を聞いていた。 良かった。 こんなクズが ななこの旦那さんにならなくて。 脳を飛び散らせて悲惨な顔で死んでる隼人を見届けて 私もようやく重い瞼を閉じた。 断捨離は終わった。 これでゆっくり眠れる。 おわり。
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