64人が本棚に入れています
本棚に追加
好きになってもらうために
あなたに好きになってもらうために
部屋はいつも綺麗にする。
疲れたあなたが安心して休めるように
あなたにおいしいものを食べてもらうために
料理を覚えた
おいしいって言ってくれて嬉しかった。
あなたに喜んで欲しくて、お金を貯めた
あなたがトイレに行ってる隙に
こっそり買ったマフラーをプレゼントしたらすごく喜んでくれたよね。
あなたを怒らせないように
勝手に遊びに行かなくなった。
あなたはとても心配性だから。
ある日
あなたが部屋に他人を連れてきた
その人は世界一好きな人だってわたしに言った。
どうして?
私の世界はあなただけなのに。
あなたは私を見なくなった。
部屋に帰って来なくなった。
お年玉を貯めて買ったマフラーは部屋のゴミ箱に捨てられていた。
冷蔵庫は空っぽになって
電気はつかなくなった
お水も止まって
髪毛はパリパリに固まって
体は痒くて臭くなった。
そして
私は布団から起きられなくなった。
それでもわたしは約束を守ってる。
あなたに好きになってもらうために。
『ひとりで外に出ちゃダメよ?約束ね?』
わたしは約束守ってるよ。
だから早く帰ってきて
お母さん。
おわり。
最初のコメントを投稿しよう!