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『真柴君!お待たせ!』 言われた通りの場所で、真柴君は待っていてくれた。 『良かった。来てくれて。』 不思議だ。 こんなにたくさんの人が ひっきりなしに歩いてるのに 真柴君だけは別の次元に住んでるみたいに 纏う空気が違って見えた。 『この後、二人で飲み直さない?』 カラオケでそう耳元で囁かれて 断るなんて考えは毛頭無かった。 『うん………』 後でめんどくさくならないように、と 先に真柴君が出て、待ち合わせにしてくれた。 慣れてるのかな……こういうの。 チラッと斜め上を見つめると 真柴君の横顔はゾッとするくらい綺麗だった。 『ん?』 私の視線を感じたのか、優しい顔で聞いてくれた。 『なんで…私に声かけてくれたの?』 『君がハンバーグ好きみたいだから。』 『!!』 そ、そんな理由!? てか私の為に作ってくれるの? 『飲み直すの俺の家でもいい?』 『えっ……』 さすがにいきなり過ぎない? どうしよう… 『美味しいハンバーグ作ろうかなって。 ちょっとお腹空いちゃったからさ。』 ハンバーグ……… 『なんだぁ! やっぱりお肉食べれないって嘘なんだ!』 『うん。肉は好きだよ?』 真柴君って案外砕けた感じの人なのかも。 ま、何かあっても 真柴ならいいかな?なんてね。 『じゃあお邪魔しちゃおうかな』 真柴君が嬉しそうに笑った。
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