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「……町役場の掲示板を見たか。第二の殺人でバラバラにされた奴が夏宮だとか」
「委員長よぉ、夏宮ってあの夏宮か?」
「ああ。あの夏宮だ」
薬師寺君の説明では、商店街で発見されたバラバラ遺体の身元は同じクラスの夏宮十らしい。テスト期間中なのに姿が見えなかったから疑問に思っていたけど、まさか殺されていたとは。
十君は高校に上がるまでは一緒に遊んでいた仲だけど、高校になってからあまり遊ばなくなった。
「で、一松の方だが損傷が激しく、身元を割り出すにはまだ時間が掛かるらしい。ただ、骨格や肉質からして男性だと思われる」
商店街の方は被害者の身元は分かったとは言え、犯人繋がる証拠がない。一カ月経ったとは言え、未だ事件の進展がないらしい。
「そうだ。事件を調べているのならOBの榊原先輩に聞いた方がいいのでは。俺は知らんが、自称「探偵」とか」
榊原当麻先輩。
僕が前に入っていた文芸部の元部長で、失業後は大学に通っている。家は舞又町らしいけど、大学が遠いため普段は学生寮に住んでいる。
訪ねに行ってもいない可能性が高い。
「……ああ、どうやら帰省しているらしい。どうやら逃避行中だとか」
大学生がそんなのでいいのか、と僕達は思った。
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