壱話 始マリニシテ奇ナル

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壱話 始マリニシテ奇ナル

 I県絲井市舞又町は町の南側に太平洋の海が広がり、町の北、東、西の三方は山に囲まれている。また、町の北北西から南東寄りに流れる舞又川はまるで、町を東と西に分断しているようだ。  この川が分断させているのは何も地形だけではない。  思想や文化、伝統すら分断している。一種の境界線のような役割を果たし、神社も西と東で二つ作られている。同じ神を奉っているわけではなく、主神自体違う。  ここはまるで時代から取り残されている。  何もかも狂った辺鄙な田舎町の舞又町。陸の孤島のような地形上から独自の文化が築かれ、外部を拒む習性がある。  そんな変わった町に住む一人の少年は、この隔離された町で壮大な歴史の渦に巻き込まれることとなった。
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