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参話 白ノ天地ヲ知ル者
一夜が明けた。
僕達は商店街近くにある駄菓子屋にいた。外出禁止となった太一について相談していた。
偶然とは言え、そこまでして太一を閉じ込める理由はどこにあるのか。
「あそこまでやるか、ふつー」
全員あの仕打ちに関して怒りを募らせていた。
新二とクルワに関しては町内会の口止めではないか、と考えていた。だが、ただの高校生にそこまで圧力をかける必要性はないはずだ。それは些か無理矢理過ぎる気がする。
元々二人は町内会をかなり嫌っていた。今回の件でさらに嫌いになったのだろう。
けど、そこまで町内会は非道ではないはず。
「チッ。余計な口出しばかりする連中らだ。そこまでしてひと——」
「それこそ余計だヨ! 問題は奴らの出方ダ!」
嫌悪を露わにする新二とそれを止めるクルワ。
新二は何を言いたかったんだろう。もしかして聞かれては拙いことを言おうとしたんじゃぁ。
急に不安になってくる。
「取り乱してすまん。恐らく太一から俺達に情報が洩れるのを恐れたのだろう」
「どうして?」
「単純だ。もし俺達がここで殺されてみろ。一応俺達は『目撃者』の部類に入る。つまり」
「つまり?」
「目撃者が殺されれば警察は犯人が消したと思われる。そして情報を持つ町内会は疑われる」
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