参話 白ノ天地ヲ知ル者

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 より犯人側は不利になる。でもその言い方だとまるで町内会が殺人事件の犯人みたいにならないだろうか。 「でもサ、死体の場所が明らかに目立つ場所ダ。もし本当に死体を隠したいなら、あの場所は向いていない。あそこほど死体が目立つ場所はないヨ」 「え、でも——」  第一に関しては自宅だが、第二の一松はわかりにくい。お岩さんのお墓に立ち寄る人は少ない。あそこなら死体はバレ難い。  どうして目立つのだろうか。 「第一の殺人に関しては、死体は見つかりやすい。野球部や学校側が不審に思い、自宅へ連絡すればその時点で見つかる。さらに商店街もゴミ出しの日には確実に見つかり、中学校の場合も登校日になれば確実に見つかる」 「つまりサ、これほど誰かに死体が見つかる場所に死体を隠したということは」  犯人は死体が見つかる前提で死体を置いている。  でもそれが僕達を殺害すると拙いのとどう関わりがあるのか。 「で、振り出しに戻るが犯人は無差別のように見えて計画性はある。いいか、もし犯人が俺達を消したいなら最初の時点で消しているはずだ。それが野放しになっている」 「でもさ、太一から情報が洩れて僕達が殺されても犯人には都合がいいんじゃない。町内会をはん——」  僕はふと一つの矛盾に気づいた。  太一から僕達へ、何の情報が洩れるのを恐れている。仮に犯人に繋がる手掛かりだとしても子供の戯れだと思うはず。  洩れたところで恐れる必要はないはず。  僕は犯人像と事件の全体像が見えつつあった。
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