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「待てよ! 太一がどうやって朝練の中止を知った」
「え、他部員じゃない? 部長とか」
「そこだ。そこなんだ。俺達が死体を発見した時刻はいつだ」
第一の殺人事件、菊池先生の殺害について。
八時過ぎに僕達は一松で集まり、そこから先生の自宅まで向かった。大体九時近かっただろうか、そこで死体を発見した。
ではさらに遡ると、新二から電話が掛かってきたのは早朝の五時半近く。つまりこの前には太一から新二へその連絡が行っていたということになる。
「俺が連絡を受けたのは五時頃だ。その前に太一が他の部員もしくは部長から連絡を受け取ったはず。なら——」
「うん。太一が中止の連絡を受けてから僕達が訪れるまでの間で殺された。でもそんな都合よく殺せるかな」
「より正確な時間が欲しい。太一に連絡する」
外に出られない太一を無理矢理出すことは難しい。だけど電話なら大丈夫だ。
新二が何度かコールを鳴らした後、太一がようやく出たみたいだ。スピーカーモードにすると早速、今まで話し合ったことを報告した。
『——そうか。俺は部長からその知らせを受け取った。時刻は四時十八分だ』
「よく細かい時間まで覚えていられるネ」
『部長が直接顧問から受け取ったと言った。その時点までは生きていたとなる』
犯行時間は早朝の四時十八分から九時の間。犯人は四時間と十八分の間に犯行を行う必要がある。もっと言えば、僕達が先生の自宅に着いた頃には犯行らしき人物など見かけてはいない。
さらにこの殺人には一つの疑問がある。
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