参話 白ノ天地ヲ知ル者

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 榊原先輩の噂は色々聞いている。在学中にあった奇妙な事件もいとも簡単に解決し、それで一躍有名になった。頭はいい方なんだけど、その何よりも性格が酷いと言われている。  榊原先輩と当時付き合っていた隣のクラスの女子生徒曰く、「傲慢、優柔不断、自己中心、駄目人間、面倒臭がり屋、気分屋……」らしい。悪口がマシンガントークのように垂れるのが逆に凄いと思う。  これから僕達はそんな人物に会う予定だ。  正直後輩の僕ですら不安だ。 「あの人かぁ。出来れば会いたくない」  そう思うと胃痛がする。  チャイムがまるで余命を告げるように鳴った。ああ、時間よ、止まれ。  〇 〇 〇 〇  三限目は数学。  計算尽くしの数学はやはり先生の意地悪だと思う。二次関数の問題が中心に出ます、と言いていた記憶がある。  うーん、何でサイン・コサイン・タンジェントも出るんだろう。  〇 〇 〇 〇  チャイムが鳴り、ようやく帰りのHRとなった。  あれから僕と新二は考え、クルワ達を呼んで行くと結論付けた。一応都合がいいのか電話番号を知っている僕が掛ける。  すると電話越しで余程暇そうな声が聞こえた。 『うん? いいよ。じゃぁ、一文のファミレスで会おう』  とそれだけ言い、電話が切れた。  太一はやはり家の関係で行くことが出来なかった。本当は行きたかったみたいだけど。
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