参話 白ノ天地ヲ知ル者

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 店員がかったるそうに注文票を置き、厨房に戻っていく。 「さっきの質問だけど、全部さ。あの町のことを全て知っているし、お前達が祀っている神のことも知っている」  クルワの表情が豹変する。 「そう警戒するな。だから僕は逃げたし、誰にもそれを語るつもりはない。そういう約束だからさ」  そう言い切ると空になったグラスを持ち、立ち上がる。  ふらりとした足取りでドリンクバーコーナーに向かい、体を揺らしながらどれにするか悩んでいた。  ……相変わらず自分勝手な人だな。  誰にとっても拙いことを軽い口調で、軽い言葉で平然と言う。僕も何度か先輩の荒行を見ているからわかるけど、あれは付き合い方を考えた方がいいタイプ。  普通に初対面の人に対しても上から目線で、傷付ける。  でも本人にとっては相手が傷つこうが何しようが、多分、関係ないんだと思う。 「よく、氏上君は同じ部活にいられたね」  色んな意味で花形さんが褒めて——と言うより励ましてくれた、のかな。  ようやく決めた先輩が帰ってきた。  それも得体の知れない異様な光を放つジュースと共に。 「……先輩。つかぬ事をお聞きしますが、それは一体何でしょう」  先輩と同類の新二でさえドン引きするものだった。  あ、同類じゃかわいそうか。うーん。でもドリンクバーで色々混ぜるのは変わらないし。  あの地球上で再現するのが難しい混沌色のジュースは、新二ですら作れない。 「宇宙からの色だネ」  クルワがボソッと言った。  一同の視線を集めた榊原先輩はすぅと、それに目線を落とした。そして、ゆっくりと新二の顔を見、首を傾げた。 「うん? ただのジュースだよ。アイスコーヒーを二、メロンとカル〇スを三、烏龍茶を二、ブドウを一、さい——」 「もういいです! わかりましたから!」  新二も我慢の限界に達したみたい。  確かに榊原先輩と付き合うのは大変だし、色々苦労が絶えないから。
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