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一方榊原先輩は落胆したように肩を大きく落とした。
「——話いいかナ。今回起こっている事件に対して、何か知っていることがあれば教えてくれないかナ?」
話は逸れてしまったけど、目的は事件の話だ。
舞又町で起こっている連続猟奇殺人事件の内容と死体の形状、そして被害者に共通点が見当たらないこと。それらを全て榊原先輩に話した。
すると呆れ返った様子でこちらを見てきた。
そして目は何かを考えるように細くなる。
「……僕にもわからないことがある。何せ第三だっけか、その死体の身元がわからないと推理しようがない。ま、大体見当がついているのだが——」
確たる証拠がないから無理、と首を横に振った。
どんな難事件でも解いてきた榊原先輩がここまでわからないのなら、流石に僕達でもお手上げ状態だ。
だが、と言葉を続けた。
「当たるなら町内会が正解だ。僕はあの一件以来、連中らにマークされていてね。迂闊には動けない。だからここにいるんだけど、さ」
僕はそんな過去は知らない。町を離れたのは大学に進学する関係上だとしか知らされていないからだ。
本人はあまり危機感もなく、その件について気にしていないようだ。
「飯塚姉妹が言っていたけど、あの老婆が切れているのはこいつが原因か」
「まぁ、そうなるね。で、燐ちゃん。今夜暇? 僕と一緒に——」
「「黙っていろ!!」」
何故かクルワと新二は声を揃えて怒鳴った。
そりゃぁ、癖のある榊原先輩と花形さんが一緒にいるっていうのは危険だけど……そこまで拒否するとは。
「さて、俺達は帰るぞ。明日もテストがあるんだぞ」
「おや、帰るのかい? 今日は僕の奢りでいいけど——」
帰ろうとする僕達は榊原先輩の方を振り向く。
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