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榊原先輩の顔は見たことないような恐ろしい表情で、重々しくその続きを言う。
「今週の連休中に第四の事件が起こる。覚悟しておけ」
事件が起こる。
その言葉の意味がどれほど重たいものなのか、僕達はまだわからなかった。それが後の悲劇に繋がるとは、誰も考えていなかった。
〇 〇 〇 〇
帰りのバスの中、僕達は考え込むように一言も発しない。
榊原先輩の最後の言葉。
それが頭の中に引っ掛かって取れない。最初から榊原先輩は知っていたのかもしれない。だが、何故知っていながら止めようとはしない。
僕は、
「ねぇ、榊原先輩は問題を起こして追い出されたんだよね。なら最初から知っていて止めなかったのは……」
「そうだネ。最後の忠告から考えると、犯人は町内会の連中らだよネ」
「太一の両親も疑うことになるぞ。それをあいつに言えるか、馬鹿」
「でも、殺された人達の共通点はないよね」
僕達はそこまで推理出来た。
けど、榊原先輩の言う通り証拠も被害者の関連性も何も分からない。誰が何の目的で殺したのか、それも残酷に。
「問題は殺された小林麻由美だが、キャスターなら犯人の動機はわかる。報道関係者なら色々調べるはずだ」
「ふむ。町内会について探っていたか、もしくは最初の事件を探っていた。そして、それが町内会にとって都合の宜しくないもので、消された。で、いいかナ」
今のところはそれが有力な説だろう。
新二は携帯を開く。
最後のあの榊原先輩の言葉だと「連休中」らしい。その連休とは、七月の十五、十六、十七の三日間。
それまでに阻止する方法を探す——のが普通だが、問題はどこで誰が殺されるか見当もつかない。
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