参話 白ノ天地ヲ知ル者

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 榊原先輩の顔は見たことないような恐ろしい表情で、重々しくその続きを言う。 「今週の連休中に第四の事件が起こる。覚悟しておけ」  事件が起こる。  その言葉の意味がどれほど重たいものなのか、僕達はまだわからなかった。それが後の悲劇に繋がるとは、誰も考えていなかった。  〇 〇 〇 〇  帰りのバスの中、僕達は考え込むように一言も発しない。  榊原先輩の最後の言葉。  それが頭の中に引っ掛かって取れない。最初から榊原先輩は知っていたのかもしれない。だが、何故知っていながら止めようとはしない。  僕は、 「ねぇ、榊原先輩は問題を起こして追い出されたんだよね。なら最初から知っていて止めなかったのは……」 「そうだネ。最後の忠告から考えると、犯人は町内会の連中らだよネ」 「太一の両親も疑うことになるぞ。それをあいつに言えるか、馬鹿」 「でも、殺された人達の共通点はないよね」  僕達はそこまで推理出来た。  けど、榊原先輩の言う通り証拠も被害者の関連性も何も分からない。誰が何の目的で殺したのか、それも残酷に。 「問題は殺された小林麻由美だが、キャスターなら犯人の動機はわかる。報道関係者なら色々調べるはずだ」 「ふむ。町内会について探っていたか、もしくは最初の事件を探っていた。そして、それが町内会にとって都合の宜しくないもので、消された。で、いいかナ」  今のところはそれが有力な説だろう。  新二は携帯を開く。  最後のあの榊原先輩の言葉だと「連休中」らしい。その連休とは、七月の十五、十六、十七の三日間。  それまでに阻止する方法を探す——のが普通だが、問題はどこで誰が殺されるか見当もつかない。
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