森から妖精がついてくる

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「黒猫ちゃん、見つからない?」 「にゃー」 「そっか……」 天使と黒猫は、町に近い方を中心的に砂漠の上空を飛び回りながら建物を探していた。 砂漠はやはり広大なのか、黒猫は鳴かない。 ふと、いきなり、 「にゃーっ!」 黒猫が大きな声で鳴いたので、天使は驚いて黒猫を取り落としそうになり、黒猫がさらに大きく鳴いた。 黒猫が鳴いたというとは、見つかったということ。 「この下にあるの?」 「にゃにゃーっ!」 天使は黒猫を落とさないようにしながら急いで少女たちのもとへ舞い戻る。 「黒猫ちゃんが見つけたみたい」 「では、行こう──と言いたいところだが、魔法を解くための道具を集めるために一旦町に戻ろう」 すぐにでも行きたいらしく、もう飛び立つ準備をしている天使の思いとは裏腹に導師はそう言った。 でも、導師の言葉を否定する者がいた。 「わたしの何でも眠らせられる能力で、その魔法も眠らせて解くことができるよ」 少女だった。 その少女の言葉に続いて天使は言う。 「早く助けに行きたくないかな?」 「よっしゃ行こーぜ!」 「わしも行こう」 「仕方ない」 「にゃー」 「行こう」 天使が問うと、まず勇者が、そして戦士、導師、黒猫、少女が次々に同じ答えを出した。 『すぐに助けに行く』という答えを。 天使と天使に抱きかかえられた黒猫はまた飛んで先に向かって見張ることになった。 そして、他の者も砂漠から黒猫の鳴いた地点まで急いで向かって、魔法使いと妖精を助けようとしていた。 「導師さん」 途中で、少女が導師に話しかけた。 導師は進むスピードを少し落として少女の隣に並ぶ。 「用件を話したまえ、少女」 「導師さんは、妖精さんと魔法使いさんがどうして何かの儀式のために捕まえられているのだと思う?」 少女は導師に訊いた。 導師と少女は、少女のスピードに合わせたせいか周りから少し遅れをとっていたため近くには誰もいない。 「捕まえやすそうな客人だったからじゃないか?」 「じゃあ、他にも人はいたのにどうして妖精さんと魔法使いさんだったんだと思う?」 導師の答えに、少女は問いを返した。 そして、少女は続ける。 「狙いはどっちだと思う?」 導師は少女から目を反らした。 導師がそれを感づいていることに感づいた少女が、わざとそう訊いたことに導師は感づいていた。 「……さあな」 導師は結局、少女にそう返した。 二人が話している間に、いつの間にか黒猫が鳴いたところに着いていた。
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