友永の野暮

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友永の野暮

 2035年8月11日早朝  友永は起業しようと考えていた。友永には100人の仲間がいる。1円から起業できるなんて人もいるがそうはうまくいかない。コンサルタントに相談した。100000÷100=1000、つまり、1000円あれば会社を設立できる。友永は国家転覆を企んでいた。しかし、『クーデターをしましょう』なんて求人広告に出せるわけがない。   桑原正臣は柳生組の元幹部だ。 「伊藤のことはあまり好きじゃなかった」  清洲公園でダベっていた。 「まさか、オマエが殺したんじゃないだろうな?嫌いな理由は何だよ?」 「酒がやたら強くて、俺あんまり飲めないんだ?」 「酒乱なの?」 「飲んだら暴れるんだ」 「大して強くないんだろうな?」 「俺なんか一滴も飲めやしないよ」  桑原とは幼馴染で、元剣道部だ。 「ハイ、1000円」  桑原が仲間になった!  桑原を伴って白河に向かった。  小峰城で村上と待ち合わせている。 「警察って危険なわりに給料少ないからな?」  村上から1000円を受け取った。 「今だから言うけど、俺ね?武田のことそんなに好きじゃなかったんだ」  村上が言った。 「なんで?」 「アイツ、体臭が臭いんだ」 「それで殺したんだろ?」  友永のお馬鹿レベルが10になった!  パイロキネシスを覚えた!  斧男参上!黒いビニール袋を被った気色悪い奴が斧を振り上げた! 「死ねぇっ!」  友永は口から炎を吐いた。  斧男が黒焦げになって死んだ。  斧男の正体は元俳優の北畠由紀夫だ。  残念ながら怪物じゃなかった。  人間を殺してもカウントされない。  スマホに遺書が残されていた。 《上杉健に手柄を奪われた。俺はアイツが大嫌いだった、整形で手に入れたあの顔も、媚を売るあの性格もだから殺した。安井にはひどいことをした。死刑になりたい為にたまたま目に入った彼を殺した。》 「妙だな?自殺を選んでいたのなら何で俺たちを襲ったんだ?」  桑原が言った。  「拡大自殺じゃないか?死ぬ前になるたけ多くの人間を殺す、よくあるパターンだ」  村上が言った。    
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