白河殺人事件

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白河殺人事件

 2035年7月15日  白河の関跡近くで、黒焦げの車から焼死体が見つかった。頭部左こめかみに銃槍があった。被害者は伊藤政之だった。  福島県警捜査一課の村上誠一警部は自殺だと判断した。  関節が25度から35度くらいにひん曲がっていた。  検死の結果、左の側頭骨の射入口から弾丸が検出された。崖下から拳銃が発見される。装弾したものと、死体に残された弾が一致した。銃把に付着した指紋も被害者と一致した。捜査員たちは裏庭のゴミ箱、冷蔵庫の中、天井裏などを探したが見つからなかった。  村上の後輩、武田慎吾警部補はベッドをひっくり返した。貯蔵庫の蓋を見つけた。拳銃と現金が出てきた。 「お手柄だね?武ちゃん」  村上に褒められて照れ笑いした。  武田はおおよそのトリックを予想した。  庭木にゴム紐、リボルバーを結ぶ。銃を家の中まで引っ張り込み頭を射貫く。  銃弾が発射!ゴム紐に引っ張られて庭に飛び出る。こうやって真犯人は他殺に偽装した。    2035年7月16日早朝  武田の射殺体が谷津田川の近くで発見された。川のすぐ近くに狼男が棲んでいる。      
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