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作中作『中島』の物語【前置き】
彼の話をするなら、やはり名前をつけておくべきだろう。
名前を口に出すのを恐れていては、神々しい人物だと錯覚してしまうからだ。
そこで、仮の名前――『中島』と呼ぶことにする。『中島』とは日本の国民的アニメのサブキャラクターの名前であるため、おそらく『田中』、『佐藤』、『小林』と同じくらい日本人にとって慣れ親しんだ名前であると、私は判断した。
そう、彼の行為を語るにはまず、彼によくある名前を与えなくてはならない。
彼は、ごく当たり前のことをしたと思っているからだ。彼なりの『信条』に基づいているのだ。
先ほどから、中島について『彼』と表しているが、私は彼が本当は『彼』か『彼女』かを知らない。
中島のウェブ上の一人称は『僕』なので、『男性』と定義する。
では、はじめよう。中島の物語を。
ああ、忘れていたよ。
語る前に私はひとつ、『主張』しておこう。
これは私個人の復讐ではない。
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