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エピローグ
今日は私の新しい恋人を紹介するということで、休日にもかかわらず、私の一存で家族の身柄を家に拘束していた。
「どうせ姉貴のことだから、ロクでもない男連れてくるんだろ」
リビングのソファで、一樹がいつもの悪態をついていた。
「あら、真理の話では相当なイケメンだって言うじゃない。お母さん、楽しみだわ~」
一樹の隣に座っている母が目を輝かせる。
「何を言ってるんだ、母さん。それよりちゃんとしたところで働いている人なんだろうな。変な奴を連れてきたらお父さんは許さないぞ」
ひとり掛けのソファに腰を下ろした、まあまあ厳格な父が言った。
そのとき、玄関のインターホンが鳴った。私と家族は我先にと玄関へ向かった。
家族は各々心の準備を整えていた。それを見届けた私は、満を持してお客様を呼び込んだ。
ゆっくりと開いていくドアの前に立っていたのは和美だった。家族は皆拍子抜けしていた。
「何だ、和美姉ちゃんじゃん」
「ねえ、和美ちゃん。これから真理の新しい恋人が来るの。一緒に迎えましょうよ」
母は的外れな提案をしている。まあそれも無理はないとも思うが。
「何言ってるの、お母さん。恋人ならもう来てるじゃない」
私の発言に対し、家族は皆キョトンとした表情で私を見ている。私はそれを無視して、堂々とした口調で言った。
「紹介します。私の恋人の、相田和美さんです」
完
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