運命の結末

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運命の結末

「どうしたの、大丈夫?」  昇に声をかけられて、私は我にかえった。隣には心配そうに私を見つめる、彼の顔があった。  私は昇と、テーマパークへデートに来ていた。ベンチに腰掛ける私達の前を、楽しそうな家族連れやカップルが次々と通過していく。  少し前までの私であれば、彼らと同様に昇とはしゃぎまくっていたところだが、今はとてもそんな気分にはなれなかった。  和美と喧嘩してから2週間が経っていた。あれから一度も彼女とは会っていなかった。それどころか、連絡すら取っていなかった。  自分から連絡しようかとも思ったが、あんなひどいことを言ってしまった手前、何と声をかければいいのか分からなかった。自分から彼女を拒絶しておいて、彼女から拒絶されるのが怖かった。  彼女から連絡がないのも、私を拒絶している証拠なのだろう。私達の関係はこのまま終わってしまうのだろうか。そう思うと、食事も喉を通らないような憂鬱な時間が続いていたのだった。  ところが元気がないのは私だけではなかった。昇のまた、いつもの明るい雰囲気とは違い、終始何かを気にしているような、浮かない表情をしていた。  そのとき、彼のスマホのコール音が鳴った。彼は詫びを入れると、スマホを手に、私のもとを離れていった。  数分後、戻ってきた彼は明らかに先ほどまでとは様子が違っていた。これまでに見せたことのないような深刻そうな顔をしている。私は気にならずにはいられなかった。 「どうしたの?」 「いや、何でもないよ」  私の問いに対し、彼は無理に口角を引っ張り上げたようなぎこちない笑顔を見せた。  それからも度々彼のスマホのコール音が鳴っていた。そのたびに彼は私のもとを離れ、そのつど暗い顔をして戻ってくるという事態が続いたのだった。
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