図書館の恋

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 和美の告白から1ヶ月の月日が流れた。その間、彼女からの連絡はなかったし、私からも何の連絡もしていなかった。  私も一応、彼女の性格は把握しているつもりだ。恐らく彼女は、私からの連絡がなければ、二度と私とは関わらない覚悟でいるような気がしていた。  あれから私は和美のことばかり考えていた。  思えば私と彼女は、すでに人生の半分を共にしているのだ。私の行く道の隣にはいつも和美がいた。私が上京してからも、彼女とは頻繁に連絡を取り合っていたし、彼女より仲がいい人はひとりもできなかった。  私が彼女と図書館で過ごしていた学生時代は、私の人生の中で最も充実した時間だった。あのときほど何かに夢中になれたことは、それ以降一度もなかった。  そういえば私はいつも彼女に助けられていた。古くは学校の宿題を見せてもらったり、好きな人にラブレターを代わりに渡してもらったり。結局それは玉砕したものの、彼女はそのときも人知れず心を痛めていたのだろう。  それに比べて、私はどれだけ彼女を助けてきたのだろうか。それどころか、私はどれだけ彼女を傷付けてきたのだろうか。そして彼女は、どれだけそれに耐えてくれていたのだろう。  色々考えた末、私はようやくひとつの結論に達した。私は膳は急げとばかりに、夜の街に飛び出した。
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