新たなダンジョン

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俺は倒木ダンジョンの入口へと到着すると、 昨日買った登山用ロープをシッカリと根が張っていそうな大木へと縛りつけていく。 長さは40mもあるので心配ないだろう。 ダンジョンの入口へと残りのロープを投げ入れ懐中電灯で穴の中を照らして確認する。 「多分10mぐらいの深さかな? その先は緩やかな斜面になっていそうだな」 ロープを2、 3回引っ張りしっかりと固定されているかを確認した後に、 倒木ダンジョンの入口へと降りていく。 新たなダンジョンと言うこともあり自然と恐怖心が沸き上がってくるが、 ゆっくりとロープを握り締めながら無事に地面へと辿り着いた俺は、 空間ボックスから狩人セットをフル装備して戦闘に備えておく 一応ファイターナイフとホワイトウルフをホルスターに入れベルト部分にぶら下げている。 最初のダンジョンでの経験が俺の警戒心を増幅させていたのだ。 「よし、 準備万端だ!  始めようか」 モンスターと遭遇した場合を考えて、 念のためコンパウンドボウにあらかじめ矢を設置しておく事にした。 ダンジョン内部は入口の地面を掘った様な作りではなく、 トンネルの様な感じに思えた。 穴に降りてわかったのだが、 道は3mほどの広さがあり奥へと一本道の構造になっている様だった。 「不思議な光景だな…… 壁面に付着している苔が光っているのか? 」 天井や壁が微かな光を放っていた。 懐中電灯を使用しなくても恐らく問題のない光量だろう、 壁や天井は光を放つ苔で埋め尽くされダンジョンの奥まで俺を導いている様に感じる。 俺は周囲に危険が無いかを確認したあと、 スマホでダンジョン内部の動画を撮影していくのだった。 ある程度撮影を終えると服を抑える為のチェストガードの隙間にスマホを差し込んでみる。 体を動かして見るが落下の恐れは無さそうだ。 「よし、 倒木ダンジョンの攻略を再開しようか」 警戒しながらもゆっくりと道を進んでいくが。 ダンジョンは永遠に続いているかの様に道の先が小さく見えてしまう。 「ん、 何かが動いた…… モンスターか? 」 いまだ小さく見えるが2体の何かがこちらに近づいて来るのが確認できた、 目を凝らした俺はおもわず息を呑んでしまう。 「間違いないモンスターだ! 」 目測で距離を測っていく。 俺がほぼ確実に当てる事ができる射程は90mだ。 射程内に入った瞬間攻撃を仕掛ける! 空間ボックスから3本の矢を取り出し、 地面へと手早く矢を突き立てていく、 既に設置している矢を合わせて合計4回攻撃ができる形だ。 それ以上はモンスターの速さを見る限り不可能に思えた。 200、 180、 160mと距離が縮まるに連れてモンスターの姿が明らかになっていく。 二体同時に迫っていたのは、 猪型のモンスターだった。 全長約1.5mで口元には鋭く強靭な牙がいくつも飛び出ていた。 かなり大型で気性が荒そうなヤツだ。 接触すれば鋭い牙で体を簡単に引き裂かれてしまうだろう。 140、 120、 ゆっくりとストリングを引き110mに入った瞬間左側の猪に矢を放っていく。 直ぐにコンパウンドボウへと次の矢をセッティングし直すと、 再び構えの体勢を取っていく。 威嚇射撃で一体のスピードを遅らせる為だったのだが、 俺の放った矢は猪の左目に深々と突き刺さっていた。 人間の悲鳴に近い叫び声を上げた猪は、 上空へと大きく飛躍すると地面に倒れ足をバタつかせる、 その姿に驚きもう一体の突進スピードが減速したのだ。 100m、 俺は力強くストリングを引き絞ると、 明らかに動揺していた右側の猪へと無慈悲に矢を解き放った。 再びダンジョン内に風切り音が反響していくと、 肉を突き骨を砕く音がワンテンポ遅れて俺の耳へと響く。 短く悲鳴を上げた猪は眉間を突かれ硬直すると活動を停止させる。 ワイルドボアLV2を倒しました。 レベルがあがりました。 謎の声が聞こえると、 俺は身構えるのを解除するのだった。
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