新たなダンジョン

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猪はどうやらワイルドボアと言うモンスターみたいだ。 コンパウンドボウがあったから勝てたものの、 ナイフや警棒を使っての近接戦闘でコイツに勝てる自信など、 正直言って今の俺にはなかった。 「ワイルドボアLV2か…… 遠距離で戦うのが安全だな」 俺は地面へと倒れたまま今も空を蹴って苦しむ、 最初のワイルドボアへとトドメの矢を放った。 すぐにワイルドボアの動きは停止する。 たとえモンスターだとしてもあまり苦しんでいる姿は気持ちの良いものではない。 ワイルドボアLV2を倒しました。 俺は地面から最後の矢を引き抜くと、 コンパウンドボウと共に空間ボックスへと一度収納していく。 既に死んでいる二体のワイルドボアへと近づくと、 一応両手を合わせておくことにした。 間近で見るとかなり兇悪な姿に改めて危険性を感じてしまう、 もし一体でもダンジョンから外界へと出てしまったとしたら、 どれ程の被害者が出てしまうのだろうか。 特にこの倒木ダンジョンは学校の近くでその口を開けているのだ。 「コイツらを野放しにするわけには行かない…… どうにか食い止めなければ…… 」 スキル【自動解体】を使用しますか? 目の前で光を放つワイルドボアは左手の俺の掌へと吸い込まれていく。 どうやら言葉に出さなくても自動解体をするかしないか決定出来るみたいだった。 わざわざ返事するのはめんどくさいので助かる仕様だな。 残りのワイルドボアも自動解体を使用して空間ボックスへと収納したのだが、 同時にワイルドボアへと突き刺さっていた矢までもが収納された様だ。 矢を引き抜かずに回収できるなんて神仕様ではないだろうか。 あれから少しダンジョンを進んだ俺は、 ワイルドボアの襲撃に遭っていた。 目の前120m圏内には数十体のワイルドボアが体に矢を受けて倒れていた。 「ちょっとまて…… 一体何匹出てくるんだよっ! 」 矢の本数が残り半分を切っていたのだ、 考える暇も無く俺は素早く矢を放つと、 直ぐに矢を装填し迫り来るワイルドボアへと再び矢を放っていく。 ワイルドボアLV1を倒しました。 ワイルドボアLV3を倒しました。 ワイルドボアLV3を倒しました。 ワイルドボアLV2を倒しました。 レベルがあがりました。 ワイルドボアLV1を倒しました。 ………… …… 「まじでやばかった…… 残りの矢が4本だぞ危なかった…… 」 全てのワイルドボアの自動解体を済ませた俺は、 地面へとヘタリ込んでしまうのだった。 流石にあまりの連戦に疲労感が蓄積していたようだ、 このまま進むか一旦引き返すか悩むところだよな。 ダンジョンに入ってまだ1時間ほどだろうか、 長い時間経過してはいないが先ほどのワイルドボアの連戦は、 体感的に20分ほど連続して戦っていた感覚だ。 「今日は安全を取るとするか」 俺は一度戻って、 日を改めてのダンジョン攻略を決断する。 スキル【仮設ログポイントLV1】を使いログポイントを設置していくのだった。 空間が歪み30センチ程のスペースに蜃気楼の様なものが出現していた。 蜃気楼に足を踏み入れようとした時だった…… 突然ダンジョン内に恐怖の咆哮が響きわたる。 グガアァァァァァァッッッ!!! 耳をつん裂くその唸り声は、 俺の体を硬直させていく…… 身体中に冷や汗が滲みだすのがわかる、 俺はなんとか声の方へ視線を向けるとそこには、 見た事もない生物が存在を誇示するかの様に、 俺へと殺意の視線を向けていたのだ。 「は、 ははは…… あれは流石に無理だろう…… な…… 」 体高はダンジョンの高さから見ると2m近くあるだろうか、 全長を考えれば恐ろしくデカイ猪のその巨体は漆黒の体毛に包まれ、 一本一本が針の様に毛羽立っている様に見えた。 100m程ヤツとの距離が離れているとは言え、ゾウの様な牙が4本下顎から飛び出し、 己の強力な武器だと主張している。 殺意を滲ませた深紅の瞳は遠くからでも明らかに、 俺へと敵意を剥き出しているのを感じる…… 「魔眼発動! 」 ネームドモンスター カオスキルボア (ドグマ)LV?? 魔眼により見えたのは、 コイツがネームドモンスターである事と、 計り知れない力を秘めている化け物かも知れないと言う現実だ。 今は決して戦ってはいけないと、 警告音が俺の脳裏に繰り返し響いていた。 「カオスキルボア…… このダンジョンの主なのか…… 」 コンパウンドボウを取り出した俺は素早く構え、 コンパウンドボウのストリングを一気に最大まで引き切ると、 カオスキルボアの眉間目掛けて最大威力の矢を放っていた。 矢はカオスキルボアの硬い剛毛に接触すると、 まるでヤツを避ける様に軌道を無理矢理変更して、 カオスキルボアの後方へと消えていく。 「いずれお前を倒しに戻ってきてやるからな」 バックステップで蜃気楼に飛び込んだ俺の耳には、 カオスキルボアの咆哮が響いていた。 すぐに視界は歪んでいくと倒木だらけの山の中で、 俺は自分の力不足を感じながら一人立ち尽くすのだった…… ※ネームドモンスターカオスキルボアのドグマ、 強敵が現れましたね! よくRPGのゲームなどでも序盤に勝てないボスモンスターが出てくるんですよね…… 強者はこのボスを倒すまでストーリーを進めずに、 雑魚でレベルを上げて倒してしまうとかなんとか笑 今回の話はこの様な無理ゲー設定を導入してみました。 さてさて次の話はどの様な展開になるのでしょうか。 ※世界の為にっ!今日も明日もダンジョン攻略を読んで頂き本当にありがとうございます! 皆さまの応援のおかげで、 連載2日目にしてファンタジー部門ランキング6位を達成致しました! 明日も引き続き更新致しますので、 是非読んで頂ければ幸いです(๑╹ω╹๑ )
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