世界の為に前準備

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握り締めた警棒のホワイトウルフで、 上半身を道へと引き上げようとしていた小鬼の顔面へと、 フルスイングで叩きつける。 骨を砕いた感触と辺りに鈍い音を響かせると、 小鬼はそのまま谷底へと落ちていく。 ここはリーチの短いファイターナイフより、 少しでも長い警棒ホワイトウルフの方が有利だと判断したのは正解だろう。 醜小鬼LV1を倒しました。 「ヤバイ! どんどん乗り上げてきやがる!【鬼魂】!! 」 急激に上昇した身体能力で前方にXシールドを構えた俺は、 更に急加速する。 俺に気がついた一体が荒い息遣いで走り寄ってくるが、 Xシールドに弾かれ谷底へと落ちていく! 後20mで着くんだ…… ここで捕まるわけにはいかない! 俺は焦っていた…… 直ぐ目の前に台座が見えているのに、 台座を守るかの様に三体の化け物が固まっている。 その中でも一体だけ一際デカイ奴が俺を見据えて、 ソイツは巨大な咆哮を上げた。 ブラッドオーガの様に赤黒い体色で、 190㎝はあるだろうか。 太い腕や俺のウエストぐらいもある太腿からして、 力もかなり強そうに見える。 「アァァァァッ!!!」 勢いに任せ力強く地面を踏み込んだ俺は、 渾身の力で奴へとブチ当たる事を決めていた。 足場の悪い中では、 中途半端な小細工は死に繋がる。 アイツを突破すれば俺の勝ちだ! 歯を食いしばり衝撃に備えていく…… ドゴォッッッッ!!!!! 「がぁっっ!! なんて…… パワーだよっ!? 」 俺の体は衝突した衝撃で激しく軋んだ。 身体強化による最大スピードで、 奴へとブチ当たったのに数十センチ後方にズレただけだった。 奴は抉れた地面へと鋭い足の爪を突き立てていた、 俺の体当たりを真正面から力任せに受け止めたのだ。 Xシールドを両手で押さえて鋭い犬歯を剥き出しにした奴の表情に戦慄が走る。 次の瞬間突然上空へと振り上げられた奴の腕は、 激しい衝撃と共にXシールドを叩きつけていた。 「ぐっ!! 反撃する暇がない…… がぁっ!! 」 力任せに振るわれる太い腕は、 逃げ場のない俺へと無慈悲に繰り返し叩きつけてくる。 一撃一撃が巨大なハンマーで殴られるような衝撃に、 Xシールドが軋み悲鳴をあげていた。 Xシールドを握り締めている俺の手からは、 衝撃に耐えきれず血が滴ると地面を赤く染めていくのだった。 「ダメ…… だ、 耐えきれない…… 」 防ぐ事で頭の中がいっぱいだった、 皮膚が裂け腕の感覚がなくなってきたその時、 咄嗟に視界に映ったXシールドの放電スイッチに気がついた。 すがりつく様に俺はそのスイッチを握り締めていた。 バリッバリッバチィッッッ!!! 破裂音を響かせながら発光し青白い電撃を放つXシールド。 再び奴はXシールドへと腕を叩きつけくると、 130万ボルトの電撃が奴の体へと駆け抜ける、 大きな悲鳴を上げると動きが一瞬硬直する形となった。 俺はこの一瞬の隙を見逃す事はしなかった! 「うわぁァァァッッ!!!」 死の恐怖の中、 思わず悲痛な叫び声を上げてしまう…… 強くホワイトウルフのグリップを握り締め硬直している奴の側頭部へと、 ホワイトウルフをフルスイングで振り抜いていく。 ドゴォッッッ!! ホワイトウルフを握り締めた手には確かな手ごたえを感じた! 奴は衝撃に耐えきれずその巨体を地面へと倒してしまうのだった…… 俺は倒れた奴を直ぐに飛び超えると、 すかさず台座のスペースへと移動していくと、 残り二体にも続け様に、 ホワイトウルフを振り抜ていく。 「ハァハァ…… ざまぁみやがれっ!! 」 地面へとホワイトウルフの先端を叩きつけホワイトウルフをホルスターへと収納する。 直ぐに右手にファイターナイフを持ち替えると、 地面で蠢くブラッドオーガに似た奴へと鋭い刃先を突き立てていく。 肉を裂き鋭い刃は強靭な奴の体へと沈んでいく…… 醜小鬼LV2を倒しました。 醜小鬼LV1を倒しました。 ブラッドオーガLV2 を倒しました。 レベルが上がりました。 レベルが上がりました。 スキル【自動解体】を使用しますか? 謎の声が聞こえるが、 今はそれどころじゃない。 俺が通った道には次から次へと谷底から這い上がってくる化け物達がいた。 直ぐに空間ボックスから栄養ドリンクを取り出すと、 急いで飲み干した後にそのまま台座へと走り寄る。 台座の中心部には禍々しい真黒の宝玉の様なものが浮かんでいた。 直ぐに撤退出来るように後方へとスキル【仮設ログポイントLV1】を設置を配置した。 空間が歪み30センチ程のスペースに蜃気楼の様なものが出現していく。 恐らくここに飛びこめば、 ダンジョンの外に移動できるのだろうか? 不安に狩られながらも迫り来る化け物達を尻目に、 台座の中心部に浮かぶ真黒な宝玉の様な物へと手を伸ばしていた。 後から思えばかなり軽率な行動だと思う。 正体不明の禍々しい真黒な宝玉に、 考えもなしで触れるなんて自殺行為だっただろう…… 罠だったら俺はあの時死んでいたかもしれないんだ。 鬼のダンジョンコアを取得しますか? 「取得する!! 頼むから早くしてくれっ!! 」 謎の声へと即答しながら、 サイドから飛び掛かってくる化け物をファイターナイフで切りつける。 Xシールドで押し寄せる化け物を凌ぐが、 あまりにも数が多すぎた為に纏わりついてくる化け物に、 攻撃を許してしまうのだった。 俺の右足や背中は赤く染まり激痛が走っていた。 これはマジでヤバイかもしれない…… 既に鬼魂の効力は無くなり、 目の前にあるログポイントにさえ行く事ができない。 手を伸ばせば届く距離なのに…… そのまま俺は物量に抵抗出来ず化け物達に押し倒されると、 地面へと仰向けに倒れ込んでしまった。 体の痛みは既に麻痺している、 最後の抵抗でXシールドの電源スイッチを、 握力のない指でなんとか握り締めた。 バリッバリッバチィッッッ!!! Xシールドに触れていた化け物達の悲鳴が聞こえる、 俺の体にのしかかる重みが少し軽くなった瞬間に、 俺はXシールド内へと手足を丸め小さく縮こまりながら、 ひたすらスイッチを押し続けていた。 「アァァァァッッ!!! 絶対に死なねぇぞ!死んでたまるかよッッ!!! 」 惨めな姿だが何が何でも生き抜いてやる。 放電音は途切れる事なく鳴り続けていた。 【世界で初めてダンジョンコアを取得しました】 称号 【ダンジョンを制した者】を獲得しました。 スキル 【ダンジョンコア】【魔眼】を取得しました。 ダンジョンコアの所有権が【ガイス】から【本多 蓮志】へと変更されました。 鬼のダンジョンコア所有権の変更によりダンジョン内の全てはDPへと変換されます。 鬼のダンジョンコア【DP72566】 謎の声が聞こえた…… その瞬間に俺を取り囲む化け物達の姿が、 まるで幻だったかの様に消えていく。 「終わった……のか……」 暫くの間動く事が出来ず、 そのまま地面に転がっていた。 体の感覚も戻って来ている、 幸いな事にこの感じなら命に関わる様な傷はないだろう。 「ダンジョン攻略成功だ…… 」 俺はそう呟いていた。 ※ダンジョン攻略成功しました! 今回は事前にしっかりと準備したのが功を奏して、 命を繋いだ結果になりましたね。 まさかのXシールド大活躍!! これがなければ呆気なく死亡していた事でしょう。 いつも☆応援ありがとうございます(๑╹ω╹๑ ) 引き続き読んで頂けたら幸いです!
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