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エピローグ
青年の名は織田信長、妻は濃姫と言った。
九死に一生を得たあの地獄から、信長は大うつけではなく、魔王として周囲に恐れられた。
信長は尾張の一角で兵を鍛えながら、時代に激震を見舞う機を伺った。
信長、二十七歳。
尾張に侵攻していた駿河の大名・今川義元の大群を、僅かな手勢で強襲し、今川を討ち取った。
桶狭間の戦い。信長が全国にその名を知らしめ、時代の流れに逆波を立てた出来事である。
なぜ信長の奇襲は成功したのか。
突如降り出した豪雨が今川軍を足止めし、雨の音が今川軍に近づく信長軍の気配を消したのである。
それから数々の戦に勝利し、凄まじい勢いで領土を広げていった魔王は、天下統一まで迫る英雄となった。
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