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 青年は傘を手放した。  焼けて、ひりついていた肌の感覚がなくなっていく。  青年は天へ舞うように両手を広げた。  天は、自分に魔王の名を与えてくださった、そう感じた。  両腕と(こうべ)をだらんと垂らすと、青年はゆっくりと顔を上げた。  黒目をまぶたにくっつけた上目に、斜めに釣り上げた口。 「反撃せよ。容赦は無用。戦国の世を、駆逐(くちく)してくれようぞ」
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