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百鬼姫消滅
晴明の霊力がどこまでも上昇していった。
「さあ、行きますよ百鬼姫様。私の手にかかれば京に天変地異すら起こせます。その霊気が収斂されて貴女を襲う。考えていらっしゃいますね。貴女は無駄なことはしない。今この瞬間も、起死回生の一手を探っていらっしゃる。ほれこの通りに」
妨害に放ったフナ侍が、虚しく空を切った。
紀子は肩を竦めた。
「あーあ。駄目ね。諦めるわ。今の私じゃどうやってもあんたには及ばないもの。せめて、私の後を託してもいい?」
晴明は無言で頭を振った。
「所詮私はとうに滅んだただの巫覡でございます。存思の念に導かれて今もここにおりますれば。さあ、おさらばです。オン!」
まばゆい光に包まれて、紀子は消滅した。
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